農業におけるカーボン・オフセット活用事業
「新品種あしたばカーボン・オフセット(特定者間完結型)」商品化のご案内
2009年3月 株式会社農学研センター
株式会社農学研センターは、「新品種あしたば」の栽培によるCO2吸収を活用した、カーボン・オフセット活用事業として、「新品種あしたばカーボン・オフセット」の発売を開始します。
カーボン・オフセットとは、企業や個人が自らの活動に伴い排出される温室効果ガスの排出量を認識し、自主努力による削減を行い、その結果削減が困難な排出量については、他の場所で行われるCO2削減・吸収活動への投資を通じて埋め合わせをする活動。国内では昨年より企業が自社の電気使用量や配送車輌からの排出、商品の製造過程からの排出などをカーボン・オフセットする事例が登場し、CSRや商品訴求力の観点から導入を検討する企業が増えてます。
2008年に環境省が発表した「カーボン・オフセットのあり方について(指針)」に後押しされる形で、これまでに300以上の取組が報告されており、その多くが京都クレジット(CER)やグリーン電力証書を活用したものである。これらの信頼性の高いクレジットを利用することは、カーボン・オフセット自体の信頼性を確保し高めるために重要です。
一方、国内で行われるCO2削減・吸収活動により創出されるクレジットを活用したいと考える企業も増えており、環境省による「J-VER制度」や経済産業省による「国内クレジット制度」をはじめ、民間団体による自主基準の認証制度も各方面で検討が進められています。
今回発表する「新品種あしたばカーボン・オフセット」は、農産物のCO2吸収能力に注目した商品で、地球環境貢献は勿論、農業の活性化や地域雇用の促進などにも貢献できるカーボン・オフセット商品として、今後国内各地に普及を目指していきたい考えです。
「新品種あしたば」について
「新品種あしたば」は1ヘクタールあたり最大1460トン(一般的な栽培においては183トン)-CO2の吸収が実証実験により確認されており、他の樹木や農作物に比べてもCO2吸収能力の高さが実証されています。(東京大学浦野豊農学博士、実証)
CO2吸収量の考え方
食用農作物は収穫後、主に食材や飼料、薬品の原材料として利用されるため、CO2吸収(炭素固定)に貢献したと考えることができます。バイオマスの利用価値を示す5F(Food(食物), Fiber(繊維), Feed(餌), Fertilizer(肥料), Fuel(燃料))においてFoodは最もエネルギー効率の高い利用方法であり、適切な植物バイオマスの利用によってCO2吸収に貢献できることを今回の商品化を通じて提案していきます。
CO2吸収認証のしくみ
「新品種あしたば」のCO2吸収量実証実験は、大学や研究所の協力を得て行い、収穫後の出荷確認とCO2吸収量の確認を株式会社農学研センターが実施。当面は学識関係者を含めた専門家による認証委員会を設け、認証のための自主基準を設け、実証実験ならびに出荷量確認に基づき吸収量の確定と認証を行います。
「新品種あしたばカーボン・オフセット」商品概要
商品名:新品種あしたばカーボン・オフセット(特定者間完結型)
栽培委託者: カーボン・オフセット協賛企業
栽培受託者: NPO法人 人と自然を支えるプロジェクト
栽培作物: 新品種あしたば
栽培面積: 1ヘクタール(単位)
栽培対象地: 農地、遊休農地、平地林、森林など
栽培可能エリア: 全国
栽培期間: 2009年3月1日~2011年2月末日の2年間
収穫予想量: 2009年度 50トン
2010年度 50トン
CO2吸収量: 2009年度 128トン
(2008年度実証に基づく推定CO2吸収量)
2010年度 128トン
(2008年度実証に基づく推定CO2吸収量)
委託金額: 500万円
「新品種あしたばカーボン・オフセット」ご利用の流れ
カーボン・オフセットを実施したい企業等は、株式会社農学研センターに参加申し込みを行います。申し込みを受けて、農学研センターは「新品種あしたば」の栽培を行うNPO法人「人と自然を支えるプロジェクト」等と協議をし、参加企業がNPO法人「人と自然を支えるプロジェクト」へ生産委託をします。生産されたあしたばは、商社等の流通を通じて販売し、確定された出荷量に基づきCO2吸収量を認証委員会にて確定、認証します。認証されたCO2は、参加企業のカーボン・オフセットに利用することができます(特定者間完結型カーボン・オフセットのため、消費者に流通する類の商品等市場流通型カーボン・オフセットへの利用は不可です)。
あさ川製菓株式会社が「新品種あしたばカーボン・オフセット」に参加
あさ川製菓株式会社は、「新品種あしたばカーボン・オフセット」に参加し、新品種あしたば生産によるCO2吸収量を自社のカーボン・オフセットに活用します。また生産された新品種あしたばを活用した、お菓子商品の開発にも乗り出します。地元茨城県の遊休農地を活用したカーボン・オフセットに参加し、新規商品開発にもつなげることで、地域密着型の農業・産業・雇用促進に貢献する新たなビジネスモデルを提案します。
協力団体
大学・研究所 :CO2吸収量実証実験、検討、確定、自主基準の検討と認定
Value Frontier株式会社 :カーボン・オフセット商品、広告企画